雪が降る町～追憶のletter～
「おう、知り合いか？」
「彼女か？」

「違いますよ。幼馴染です」

狭い店内にまだ二組しかいないとなると、後ろの座敷の会話なんて丸聞こえだ。
４０前後と見られる人たちにそう言われて快斗は慌てることなく返答していた。

「幼馴染！なんかいいなぁそういうの」
「あんなかわいい幼馴染いたら帰りたくもなるよな」

オジサンだからか勝手に自分と快斗のことで盛り上がってるな…そんなことを思いながら背を向けたまま耳を傾けていた。


「晶に幼馴染なんていたんだーかっこいいじゃん」
「え？うーん…そうかな。私も久しぶりに会ったから…」
「好きじゃないの？なんかよくあるじゃん、そういうの！」


まだ１杯目だというのにありさの絡み方は既に酔っぱらっているかのようだった。

「そんなこと、現実にはないよ」

冷静に返事をした晶は残りのビールを傾けた。

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