雪が降る町~追憶のletter~
「ああ、そうだ。晶ちゃん覚えてる?」

「?」

「確か・・・おれが17だったから晶ちゃんは15?」


晶の中で“15”という歳は特別だ。
その頃の話というだけで胸がざわつく。


「なに?」


晶は話の続きが気になって、口につけていたコーヒーをソーサーに戻すと大地の方を真っ直ぐと見た。


「いや、あれ。大晦日?」


“15のときの大晦日―――”


それは紛れもなく晶の“特別”な過去で。
いや、未だに過去になっていない話。

心臓の音がうるさい。



「あの時行けなくてゴメン」


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