雪が降る町~追憶のletter~
「どーすっか····あ、あそこでも行っちゃうか?」


急に集まった3人は行くアテもなく、ただ気の向くままだらだらと歩いていたが、大地が指をさしてある場所を提案した。


「テレビ塔!」

「····あ··」


晶が躊躇いがちに何かを言おうとするが、あまりの小声に、雪に言葉を吸い込まれる。


「ダイ、俺、高いとこ苦手」


そう言ったのは快斗だった。
雪が舞う向こうにいる快斗の顔を見る。
ちらりとこちらを見た気がするけれど、ちらちらと降る雪が視界を邪魔してハッキリとはわからなかった。


「ええ?!お前、そんなん言ってたら仕事になんねぇだろ!」
「仕事とこれとは別」


半ば無理やりな言い訳だ。
晶にはすぐに嘘だと分かった。なぜなら、快斗とは小さい頃から何度も家族で遊園地に遊びに行っているんだから、高いところが苦手だなんてありえない。

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