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ええいままよ!
『ごめん、返信遅れた。母さんが電話してきて。
手伝ってくれんの? わーい(^O^)
どこ行きたい? どこでも連れてってあげるよ☆』
私は、たっぷり十秒硬直した。
「嘘……」
何回も何回もメールを読み返す。
「嘘嘘嘘っ? やったーっ!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねる。
どうしよう、これって、デートだよね?
『どこでも良いよ♪
でもまず、課題いつどこでやる?』
嬉しい! 嬉しすぎるっ
『じゃあ、明日土曜だし、空いてる?』
このときの私は、舞い上がっていた。
本当に舞い上がっていた。
新しい恋への一歩を踏み出した、踏み出すことができた自分に浮かれていたのだ。
翌日。
待ち合わせは大学の近くのファーストフード店。午前中に陣君のアパートで課題を終わらせて、午後には出かける予定。
ひゅかにも報告をして、今日はちょっとお洒落もした。
うきうきしながら待ち合わせの場所に向かう。
空を見上げると、透き通るような快晴。
歩調も軽く、心も軽い。
信号待ちのたびに、携帯を開いて陣君のメールを確認する。
「んふふ♪」
にやけ笑いをしながら店の扉をくぐろうとした。
完全に危ない女の子だ。
だけど、案外、恋する女の子はこんなものなのかもしれない。