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「ひゅかは?まだ来てないの?」
「あれは寝坊確実だな」
新しい学期は、三人で示し合わせて、同じ日程を取った。
また、パソコン相手に格闘する日々が始まる。
「春休み、どうだった?」
「うん、まあ」
にっこり笑う陣は、きっと地元の彼女とたくさん時間を過ごしたのだろう。
その事実に少しだけ寂しくなるけど、でもいつもは私と一緒にいてくれるのだから、それ以上を望んだら、ただの我侭なのだろう。
「遅れてごめーんっ」
ひゅかが駆け足でやってきた。
「ひゅかーっ」
「みあっ」
私達は力強く抱擁を交わした。
「ひゅか、髪切ったの!可愛い!」
「みあー、会いたかったよ!あ、てか、王子もいたんだ。おはよ」
ひゅかのとってつけたような言葉に、陣が傷ついたような顔になる。
「ひゅか、それはないと思う。てか、みあ、なんでひゅかとは抱擁で、俺はあいさつだけ?」
「え、陣も熱い抱擁が良かった? はい」
両手を陣に向けて広げると、陣はぷいっとそっぽを向いた。
「けっ、そんなついでじゃ、いらね」
と言ったかと思うと、ぎゅっと私を抱きしめた。
「いらないんじゃなかったのー?」
「せっかくだから貰った」
そんな私達のやり取りを、ひゅかがしばらく眺めて、笑った。