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「へへ、やっぱ二人一緒にいるの見ると、安心するな」
「なんで?」
陣が私から離れながら尋ねる。
「うん。なんか、さっぱりした付き合いが良い感じ」
ひゅかの言葉に私は笑う。
「仲良いことは自覚してますよ」
「で、二人はいつから付き合ってるの?」
ひゅかの言葉に、私は少し、傷ついた。
知ってるくせに。私が陣の彼女じゃないことくらい。
「何だ、ひゅか、嫉妬してるんだ。みあ、俺に盗られたから」
「何で王子なんかに、嫉妬しなきゃいけないのよ!」
「うわーっ、なんか、ってひどくね!」
友達だという事実は、本当は少し寂しい。
だけど、それ以上を求めても、意味がない。
だったら、寂しいと思わなければ良いのに。
それでも、私は感情を押し込めることに慣れているから。
でも、慣れていることと平気なのとは、違う。
新入生の案内も終わり、式典も終わった。
「久島さん達も、この後つきあわない?」
先輩達が言うには、この後飲みに行くらしい。
「あ、それじゃ、私、着替えてから行きます」
「ん、それじゃ現地集合ってことで」
私達はその場で解散。
「みあ」
「ん?」
帰路が一緒になる陣が声をかける。
「あとで一緒に行こうぜ。迎えに行くから」
「え、うん。わかった」