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過ち
不意打ちのような陣のキスの後、私はいろいろと考えた。
しかし、答えは出ず、どんどん混乱するばかりだった。
だけど、一つだけ言えることは、凍りついた感情が、あのキスで、あっさり解凍されてしまったということだった。
あのキスは、卑怯だった。
せっかく、封をしたのに。
せっかく、友達でいようとしたのに。
どうして、陣は、あんな行動をとったのか。
陣が、私のことを好きになった。
単純な私は、そういう風にしか、行動の理由が思いつかなかった。
しかし、そんなわけがないと、すぐに思い直す。
結局は、陣にしか、その理由はわからないのだ。
翌日、私は陣に呼ばれて、彼のアパートにいた。
明らかに陣は挙動不審で、私のことを見なかった。
自分が呼び出したくせにと、それを不満に思った私は、
「こっちきて、座んなよ」
ぽんぽんと、私の隣を叩く。
陣は何も言わずに私の隣に座った。
そのことに安心した私は陣に甘えるように擦り寄った。
キスのこともあってか、ちょっと甘えたい気分になっていたのだと思う。
私の安全地帯が、完全に消えてしまった証拠だった。
そしてそれを陣が受け入れるかどうか、試したのかもしれない。
陣はそんな私を、拒絶しなかった。
二人で、何も言わないでぼやっとしていると、陣が私を見た。
「?」
私も陣を見上げた。
陣の顔が近付いてくる。
私はそれを、受け入れた。
何度も、何度も、陣は私の唇に触れた。
私もそれに、応えた。
それは、不意打ちじゃないキス。
陣が、ふと硬直して、
「俺、間違ってる……?」
って、呟いた。