Debug
もう、一週間が経った。
「みあ」
疲れたように笑う、陣。
「もう、大丈夫だから」
この二週間、彼がどんな葛藤をしたのかはわからない。
尋ねても、陣は決して何も言わないだろう。
だけど、陣も私といることを選んだのだ。
それなら、私に今できることは、なんだろうか。
「身体、大事にしなよ、陣」
また、前みたいに、冗談を交わすだけじゃないか。
「はは、みあもな」
また、前みたいに、一緒にいることだけじゃないか。
私達は、以前のように一緒にいることを選んだ。
だけど、決して前とは違う。
二人の間には、友情以上の、感情が芽生えてしまっていたのだから。
私達は、選んでしまった。
もっと、複雑な作業が必要なコードを。
本当は、もっと近道があったはずなのに、選んでしまった。
もっとも難しい、データの構造式を。