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「あ、はい」
陣が肯く。店員さんはにっこり笑った。
「それでしたら、このようなものがお似合いかと思われますが」
店員さんが、私の手首にシルバーのチェーンに薄紫の石がはまってるブレスレットを当てた。
どうやら店員さんは、私を陣の彼女だと勘違いしているらしい。
困って陣を見た私に、陣はくすっと笑う。
「みあによく似合ってるよ、それ。でも、佐和に紫は似合わないかも」
陣の言葉に、店員さんは間違いに気づいたようだ。
「すみませんでした。えっと、どのような色がお似合いなのですか?」
「あ、でもそれも買うんで、一個お願いします」
「どうもありがとうございます」
「え、ちょ、陣?」
私は驚いて陣を見た。
「いつも一緒にいてくれるお礼」
「…………」
陣はもう一つ、シルバーの薄い青の石がついたペンダントを買った。
「よしこれでプレゼントはおっけ。みあ、なんか食べよ。小腹が空いてさ」
「うん」
陣がサンドウィッチの店に入る。適当に席を見つけて座った。
「みあは?」
「んー、あんまりおなかは空いてないから、アイスコーヒーだけでいいや」
陣が店員さんを呼んで、注文を済ませた。
食事が運ばれてくるまでの少しの時間を、他愛も無い会話でつぶす。