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「あ、そうだ」

 陣は先ほどの店のプラスチック袋を開いて、小さな箱を差し出した。

「これはみあにだから」
「……ありがとう」

 陣が右手を差し出したので、私は左手を差し出した。

「ん、やっぱ、みあによく似合ってる」

 陣が私の手首に、そのブレスレットをつけてくれた。
 自分でも、皮肉なくらいによく似合っていると思った。

「これからも、一緒にいてくれるよな」
「もちろんだよ」

 私は微笑んだ。泣きそうになるのを、悟られないように。
 ずっと、一緒にいられないことくらい、わかってるはずなのに。
 そんなことを、安易に言わないで欲しかった。
 貴方は、私にずっと「友達」として一緒にいて欲しいんでしょう?
 私は、このまま一緒にいると、貴方にどんどんのめり込んでしまいそうになる。


 私が今までまともな恋をできなかった理由。
 それは、私が人をまともに愛せないからなのかもしれない。
 人を好きになることは、そこそこあった。だけど、それ以上はのめり込めなかった。

 私は、誰かを愛すよりも、誰かに愛されたかった。


 元彼という存在がいるけど、彼に言われたのは、

「お前は、俺を愛してなんか無いだろ?」

 それで、たった三ヶ月で別れた。

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