Debug
「やば……クルスカルとかダイクストラとか、もう忘れちゃった」
ひゅかがぼやく。私達は二人で復習をしていた。
「やっぱ、プログラミングって、難しいよね……」
私が呟くと、ひゅかはむすっと膨れ面で、
「みあには天使がついてるのに、そういうこと言う?」
「天使って……」
ひゅかまで陣と似たようなことを言う。
そしてふと、ひゅかが真顔になった。
「みあ、最近大丈夫?」
「え?」
「王子とのこと」
私はひゅかの言葉を待った。
「なんか、私の目には、二人とも無理してるように見える」
「……陣とキスした」
ひゅかが私を見た。私ができたのは、寂しさをこらえるように微笑むだけ。
ひゅかの顔が強張っているのが、わかった。
「陣、私のこと好きになっちゃったんだって」
「でも、それっておかしくない? 王子には彼女がいるんでしょ?」
私は肯く。
「陣は彼女のこと大好きで……多分私のことなんかよりずっと大切で……」
「みあ……」
「だからきっと私のことは気の迷いなんだと思う」
だけど、私は苦しい。
陣もときどき辛そうな顔をする。