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「…………」
「いや……ごめん……生はまずいって……」
照れたように笑った陣は、恥ずかしそうにずり下げたズボンをあげた。
私も真っ赤になって、すぐにずりあげられたスカートを元に戻した。
「はは……」
「んむ……」
笑う陣が、真っ赤になった私を抱き寄せる。
私は、素直に身をゆだねた。
陣が私を求めてきたことに、優越感を覚えると同時に――自分がまた惨めになった。
所詮陣も、私の身体だけが欲しかったんじゃないのかと、そう思ってしまう自分が悲しかった。
私の心は、変だ。
こんなことをされて普通、あんなに冷めていられるわけないのに。
どうして私の心は、何も感じなかったんだろう。
どうして心だけが、麻痺してしまったかのように、何も感じなくなってしまったのだろう。
ふと思い出すと、一人で泣いてしまうくせに。
心が押し付けられて、鉄の処女に入れられているような痛みを感じるくせに。
陣と一緒にいることは、幸せなことだ。
だけど私達が一緒にいることは、お互いを傷つける。
私達は許される関係ではないから。
その事実をわかっているから、私はどんどん自分で自分を追い込んでしまうんだ。
陣の腕の中で、ぼやっとする。
陣は私の頭をなでなでしてくれる。
本当に、この暖かさを自分のものにしてしまいたかった。
だけど、無理なんだ。
私は所詮、陣の友達でしかなくて、陣だって私への感情と彼女への感情に板ばさみになっている。