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決断
求めても、手に入れられはしない。
そんなことは、最初からわかっていた。
あの桜の舞い散る日に始まった恋は、報われることなく三年という月日を越した。
一線を越えてしまったあの日から、なにかが少しづつ変わってしまったような気がする。
私は、陣の前でうまく笑えなくなった。
友達でいいから、隣にいたい。
その思いは今でも変わらない。
だけど、陣と一緒にいることが、私を傷つけるようになった。
あの過去と対面した日、全てが変わった。
二年も私を戒め続けた言葉が、陣のおかげで溶けて消えた。
気づいたからだ。
それが本当のことだと。
健也は私に事実を伝えていただけだったんだと。それに気づいて、私は考えるようになった。
どうやったら前に進めるかと。
三年以上も想い続けて、もう充分じゃないかと思った。
本当は、何度も何度もデバッグしようとした。
だけど勇気がなくて、できなかった。
だけど私はもう、気づいていた。
陣とはもう、友達でいられないということに。
大学生活も四年目を向かえた。大学最後の年だ。
「とうとう最後の年だね」
「うん、みあ、どうにかちゃんとここまでこれたね!」
ひゅかと二人で笑いあう。
成績的にも危ない橋何度もわたったけど、なんとか無事にここまでくることができた。
「就職とかも考えなきゃいけないよね」
ひゅかが憂鬱そうにつぶやいた。
「就活とかも大変そうだよね、この時代」
「うん。とりあえず卒業が最初の課題だけど」
卒業できなかったら、本当に大変だ。死に物狂いで勉強するしかない。