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 大学最後の年、私は必死に勉強した。
 勉強で忙しくしていれば、何かを忘れられたから。
 そんな風にすごしている間に、時間はどんどん過ぎていった。
 最終課題である卒業プロジェクトのグループは、ひゅかと私と陣。
 だから三人でいる時間も多かった。
 私達のプロジェクトの内容は、資源管理システムだ。
 環境問題を考えたテーマで、一つの建物で水や電気など、資源の流れを把握し、管理するプログラムだ。
 データベースやネットワーク、子機へのアクセスなどいろいろ実験もしなくてはならない。
 だけど、充実した毎日だった。
 陣と一緒にいても、私はこのプロジェクトのおかげで余計なことを考えずにすんだ。

「ねぇ、計算合ってる?」
「げ、ちょっとここおかしいだろ。部屋に人いないのに空調つける指示でてる」
「ねぇ、みあ、アンケートは終わった?」
「へ、陣が集計するんじゃなかったっけ?」
「やばっ、忘れてた!」
「ちょっと王子しっかりしてよ!」

 そんな風に、忙しく、陣か私のアパートに三人で泊まりこむ日々。

 期限に追われていれば、あっという間に過ぎてしまうのが時間。

 必死の頑張りで、どうにかシステムは形になった。

「提出した後は、就活かぁっ」
「ほら、王子、提出した後とか、未来のこと言ってないで。プレゼンの準備も終わってないんだから」

 陣の寝ぼけた発言に、ひゅかがばしんとその頭を叩く。

「プレゼン用の資料まとめなきゃ」

 まさに怒涛の日々、というのに相応しい時間が過ぎていく。


 でも、よかった。
 忙しくて、よかった。
 陣と一緒にいても、変なことを考えなくて済んでよかった。

 私の決心が、揺らがなくてよかった。
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