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えぴろーぐ
透き通るような青い空に、舞い散る桜は、あの頃と何も変わっていないように思えた。
空色とピンクが微妙にかもしだす爽やかさを風に受けて、心が洗われたようになる。
荘厳な造りの真っ白い建物は、チャペル。
ここで、一組のカップルが、結婚式を挙げる。
それを祝福するように、鐘が鳴った。
「ひゅか!」
私は親友の姿を見て、歓声を上げた。
「みあーっ! 綺麗よっ!」
ゆっくりと振り向いた、ウェディング姿の親友の言葉に、苦笑する。
「あのね、何言ってるの!今日は、ひゅかが主役の日でしょ!」
照れたように笑う純白のドレス姿のひゅかは、とても輝いて見えた。
「それにしても、本当に綺麗」
「ありがとう。みあも、そのドレス、似合ってるわ」
そう、今日はひゅかこと、久島由華の結婚式。ひゅかは、就職先で、職場の上司と大恋愛をし、この度めでたく結ばれることとなったのだ。
「良かったね、ひゅか」
喜んでいる私に、ひゅかは意味ありげな視線を向けた。
「それはね、こっちの台詞よ、みあ」
ひゅかの視線が、私の隣にいる人物に向けられる。
「王子、久しぶりね」