[短]時を超えても愛してる 下
桜並木沿いにある神社。

ここは、私の実家だ。

私は実家の前で足を止める。

あそこの整理をしていたから、私はみんなに逢えたんだ。

そう思うと嫌いな家が少しだけ愛おしく思えた。

「おーい歳三っ!!!待ちなさい!!」

「え?」

私はその名前に反応しておもわず振り返る。

みると小さな男の子が走っていた。

そして私の横をすり抜ける。

「と、歳三?」

男の子の名前をおもわず呼に手を掴むと男の子は不思議そうにこちらを見る。

「お姉さん誰?」

綺麗でまっすぐな瞳をもった男の子。

まるで、土方さんみたい・・・・

「すみません!!もうっ!走っちゃダメでしょ?」

男の子の母親と思われる女性が走ってくる。

「あ、いえ・・・・」

「ほら!行くわよ歳三!お姉さんにばいばいは?」

そう母親が言うと男の子は笑顔で手を振る。

「またね!!」

私はただ二人の姿を見守る。

「歳三、かあ・・・・・」

私はその名前を口にした途端頬に暖かな雫が落ちた。

「涙?」

その雫は次々にあふれ出てくる。

今までみんのことをよく思い出した。

だけど、土方さんのことはあまり思い出さなかった。

違う。思い出さないようにしていたんだ。
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