[短]時を超えても愛してる 下
思い出すと切なくなるから。

あの日、二人で見上げていた桜をいま一人で見つめている自分が寂しくて。

あなたを思い出すのが怖くて、何度も心から消してしまおうと思った。

だけど、なんどもあふれ出てしまうんだ。

「好き、なの・・・・」

誰よりもあなたの笑顔を見つめていた。

そばで一緒に笑っていたい。

いっきにあふれ出た思いは止まることを知らず、ただただあふれ出る。

「っ!!」

私は目の前の実家に駆け込んだ。

そしてあの時をとんだ場所へ向かう。

「お願い、あって・・・・・」

私はそう思いながらあの紙を探す。

「っ・・・・ない・・・・」

あの、血がついた紙はどこにもなかった。

「やっぱりだめなんだなあ・・・・」

思いだけじゃ越えられないものがあるんだと

願いだけじゃかなわないものがあるんだと

私は改めて実感した。
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