[短]時を超えても愛してる 下
「これは・・・?」

近くに綺麗な箱があった。

私はそっと中身をのぞいてみる。

するとそこにはあの時私が時を飛んできたときに来ていた袴と羽織があった。

「懐かしい・・・・」

私はぎゅっとそれらを抱きしめる。

そして、おもむろに着替え始める。

「うわあ、まだぴったり・・・・」

着替えてみると袴も羽織も思いのほかぴったりと体になじんで笑ってしまった。

そして、私はそっと外へ出る。

満開の花吹雪はあの日を思い出させる。

「運命なんて・・・・変えてしまえればいいのに・・・」

そう強く思う。

願うはただ一つ。

あなたの傍に行きたい。

そう思いまた涙を流す。

私は誰かに見られる前に帰ろうと思いくるりと踵を返そうとする。

「え?」

振り向いた先に見えるのは現代と幕末の二つの景色。

「どうして・・・・?」

すると胸元でかさりと音がする。

「これっ!!」

あの時の紙があった。

だけど以前よりも血が薄れていた。

「どうして?」

私は考えていた。

だけど、直感的に私はどちらかの世界を選ばなければならないと感じた。
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