[短]時を超えても愛してる 下
答えなんてもちろん決まっている。

逢いたくて恋しくて、だけどあなたと離れてしまった日々。

「私が選ぶのは、あなたの傍だけ。」

そうつぶやくとふわりと少女が現れた。

「そなたが我を呼ぶものか?」

「え?あなたは?」

「我はこの紙の血の主。ずっと我の血に気づくものを待ち続けていたのじゃ。」

「あなたが、この血の主なの?」

「応。ずっと果たしたい思いがあった故にとどまり続けていたのじゃ。」

そうつぶやくと苦しげに顔をしかめる少女。

「あなたも恋をしていたの?」

「否。われのは恋とは言わぬ。儚い思いなのじゃよ。」

「儚い思い・・・・」

「それよりも主の願いをかなえる代わりに代償をもらうがよいか?」

「代償?」

「そう。おぬしがあちらに行けばこちらの世界から主は完全に消える。主は存在せぬ人間になるのじゃよ。」

「存在しない人間・・・・」

私の存在がなくなる。

すこし怖いと思った。

神山君やすべての人から私という人間の記憶がなくなる。

だけど、それでも・・・・

「土方さんの傍に行きたいの・・・・」

そうつぶやくと少女は優しく微笑んだ。
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