[短]時を超えても愛してる 下
「御意。おぬしの願いのままに。」

そう彼女がつぶやくと体が光る。

「あなたは!?」

「我は静御前と昔呼ばれておったものじゃ。舞拍子じゃよ。」

静御前!?

私が驚いて瞳を見開くと彼女は穏やかに微笑む。

「我は義経様の傍で生涯添い遂げることはできなかった。我の願いは好いたものの傍で生涯添い遂げることじゃよ。」

「静御前・・・・」

あなたはどんな気持ちでいま言葉を紡いでいますか?

私はおもわず黙ってしまう。

「我は少しの間だが義経の傍におれて幸せじゃった。義経様との子供を身ごもることができて幸せじゃった・・・じゃがな。」

静かに言葉をきり、また紡ぐ。

「出来るのならば義経様の傍にいつまでもいたかった。義経様に我が子の顔を見てもらいたかった・・・」

ああ、ここにも確かに時間に埋もれない愛があった。

「静御前。私、絶対幸せになるから。」

「ああ。我の分まで幸せに。願わくばそなたの思いが叶わんことを。」

優しい声を聴きながら私を最後のときをとんだ。
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