time ~戻れない時間~
「知代~ごめん」珍しく春二がデートに遅刻してきた。
申し訳そうに謝る春二が可愛くていじめたくなる。
「嫌。私、帰る」春二に背を向けて来た道を戻っていく。
春二が動揺しているのを想像するとおもしろい。
だけど、彼は追いかけてはこない。でも今更後ろを振り向けるわけでもなく前に進んでいく。
「ちーよ。俺、昨日からデート楽しみだったんだけどー」
人の多い、噴水前で大きな声で話し出す春二。
私は、びっくりして春二の方に振り向いた。
周りの人はこそこそと話していて春二に注目している。
「知代ー好きだよー」彼は頭がおかしくなったのだろうか。
人目を気にせず堂々と告白してくる。
「知代ーデート行こうー戻ってこいよー」
私は、その場に立っていたけど、あまりの恥ずかしさに春二の場所に戻った。