急性大好き症候群
そんなある日のこと。


授業の後部活を終え、一人で帰路についていると、いきなり視界が真っ白になった。


やばい、こんな時に。


家に着くまで待ってくれればいいものを、真っ白な世界はあっという間にあたしを飲み込み、目をつぶると頭痛と目眩に襲われた。


あたしは気持ち悪くなって、耐え切れずにその場にしゃがみこむ。


このあたりは人通りが少ない。声をかけてくれるような知り合いがいない分、まだ救いかもしれない。


毎回毎回、裕也に襲われる映像が頭の中で再生されるんだから。


「……大丈夫ですか?」


真っ白な世界が遠ざかるのを待っていると、傍で声がした。幾分楽になって顔をあげると、中学校の制服を身に纏った女の子があたしの顔を覗き込んでいた。


「……麻尋ちゃん?」


ストレートの黒のロングヘアを下ろした、太一の彼女だった。


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