急性大好き症候群
「……太一となんかあった?」


あたしと話があるということは、十中八九太一か弘樹のことだろう。


「いえ。太一は私を大事にしてくれてます。嫉妬魔なんで、他の男だったらたぶん、一ヶ月もしないうちに別れちゃうと思うんです。でも太一は優しいし、そこが好きだって言ってくれてるし……」


麻尋ちゃんは自分のことをよくわかっているらしい。


言い方からしても、本当はいい子なのだと思う。


「……でも私、弘樹にも好かれてるんです」

「え?」


普通なら喜ぶところなのに、麻尋ちゃんは唇を噛み締めていた。


なんか、ドロドロの世界かも。中学生って。


「告白とか……されたの?」

「付き合ってとは言われていません。ただ、弘樹と二人きりの時、好きだから、それだけは覚えといてって言われて……」

「うちの弘樹がとんでもないことを……」


あたしは申し訳ない気持ちになってしまう。


我が弟よ。すげーキザな告白したな……。


ただ、兄弟だからあたしは弘樹に肩入れしてしまうのかもしれないけど、弘樹は麻尋ちゃんを困らせたいだけに告白したのではない気がする。


< 103 / 198 >

この作品をシェア

pagetop