急性大好き症候群
「……今、苦しいってのもあるかもしれません」

「苦しい?」

「最近、太一といるのが辛いんです。受験生だから距離を置くようにはしてるんですけど、それでも会うと苦しいんです」

「……つまり?」

「弱ってたからですかね、弘樹の告白が嬉しかったなんて」


ああ、麻尋ちゃん、本当にごめんなさい。


うちの弘樹がごめんなさい。


人の弱みにつけこむなんて。


顔どころか中身までそっくりな、言わばあたしの分身みたいな弟が(本人は絶対否定するだろうけど)、そんなことをしてしまうなんて罪悪感に襲われる。


わざとだろうか。それとも、いけないことだと判断できないくらい切羽詰まっていた状況だったのだろうか。



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