急性大好き症候群
あたしの頭はさらに混乱。


「んっ……」


太一との二度目のキス。


あ、でも太一は覚えてないだろうから、太一にとっては初めてかな。


唇を押し付けられる。


ただそれだけなのに、太一の温度を感じる。


遠くで女子達の甲高い悲鳴が聞こえる。


学校の廊下でキスシーンを目撃したら、そりゃあ騒ぎたくもなるわ。


酸素不足でくらくらしてきた頭でそう思った。


傍でばたばたと何人かが去っていく足音が聞こえる。


「……もう、へばっちゃった?」


太一があたしに額をくっつけてにやりと笑ってくる。


「……おかしい、よね、これ………」


太一に酸素の供給を妨げられていたから、呼吸が荒くなっていた。


「……ん、じゃ、こっち来て」


太一に腕を引っ張られ、外に出る。


気付けば廊下には誰もいなかった。


授業開始のチャイムが校舎に響いた。


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