急性大好き症候群
11.忘れた頃にやってくる
それから、あたしは太一と一切会わなくなった。


偶然ではない。あたしがずっと避けていた。


あんなことをされて、太一とまた平然な顔で会えるほどあたしは度胸の座った女ではない。


どんな顔で会えばいいのかわからなかった。


どちらかと言えば被害者はあたしなのだからビクビクする必要なんてないのかもしれないけど、それでも何となく嫌だった。


そんなあたしを隣で見ていた美紗は「そんなことしてたら麻尋ちゃんに先越されるよ」なんて言われたけど、もともと太一は麻尋ちゃんが彼女なのだ。あんなことをしたって、あたしは太一の何でもない。


勝負なんてとっくの昔に、あたしが土俵に上がる前からついている。


あたしは太一を避け続け、太一はあたしに声をかけることすらしなくなった。


意外にもあっさりしていて、まあ仕方ないことだとはわかっていても、何かが起きて欲しかったあたしも密かにいた。


六月の最後の大会であたし達三年生は部活を引退し、受験勉強に本腰を入れた。


十一月には専門学校から合格通知が届き、他の人達とは一足先にあたしは受験勉強から解放されることになった。


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