急性大好き症候群
太一といても、あたしって可愛いげないと思う。
バリバリの素というか、素っ気ないというか。
「そんなんじゃ男寄ってこねーぞ」なんて、昔裕也に言われた気がする。
太一もそう思っているのだろうか。
ああ、ダメだ。なんか落ち込んできた。
「唯織」
「何?」
「その……。前は……すみませんでした」
「前?」
「無理やりキスとかして……」
「ああ……うん。別に、もういいよ。気にしてないから」
嘘だけど。
あたしに気持ちはないくせにとか、半年以上経った今でもたまに思い出して泣きたくなるけど。
でも、言わない。
美紗にはけじめをつけろと言われたけど、やっぱり怖い。
せめて、あたしが高校を卒業するまではこの妙な関係を壊したくない。
「唯織って、今彼氏いるの?」
「は?」
「彼氏」
「……いないけど」
なんでそんなことを聞かれなきゃならないのか。
太一には関係ないでしょ。
当の太一は「ふうん」と呟いてそれから黙ってしまった。
……なぜ黙る。
あたしも話題がなくて、二人の間に沈黙が流れる。
正直、あたしは沈黙が苦手な方で、あまり親しくない人との間に沈黙が流れると逃げ出したくなる。
この空気が妙に重い。
太一は目を伏せてぴくりとも動かない。
時間にしてみれば、三分もそうしていなかっただろう。
でも、あたしにはもう耐えがたい。
「トイレ……お借りします」
あたしは結局逃げ出した。
バリバリの素というか、素っ気ないというか。
「そんなんじゃ男寄ってこねーぞ」なんて、昔裕也に言われた気がする。
太一もそう思っているのだろうか。
ああ、ダメだ。なんか落ち込んできた。
「唯織」
「何?」
「その……。前は……すみませんでした」
「前?」
「無理やりキスとかして……」
「ああ……うん。別に、もういいよ。気にしてないから」
嘘だけど。
あたしに気持ちはないくせにとか、半年以上経った今でもたまに思い出して泣きたくなるけど。
でも、言わない。
美紗にはけじめをつけろと言われたけど、やっぱり怖い。
せめて、あたしが高校を卒業するまではこの妙な関係を壊したくない。
「唯織って、今彼氏いるの?」
「は?」
「彼氏」
「……いないけど」
なんでそんなことを聞かれなきゃならないのか。
太一には関係ないでしょ。
当の太一は「ふうん」と呟いてそれから黙ってしまった。
……なぜ黙る。
あたしも話題がなくて、二人の間に沈黙が流れる。
正直、あたしは沈黙が苦手な方で、あまり親しくない人との間に沈黙が流れると逃げ出したくなる。
この空気が妙に重い。
太一は目を伏せてぴくりとも動かない。
時間にしてみれば、三分もそうしていなかっただろう。
でも、あたしにはもう耐えがたい。
「トイレ……お借りします」
あたしは結局逃げ出した。