急性大好き症候群
12.亀裂
あたしはとことん最低だ。


自覚している。


でも、この思いはどうすれば止められるのだろう。


いや、止めたくない。ずっと好きでいたい。


これからあたしがどうなるかなんて想像つかないけど、この思いが途切れるまであたしは太一を思っていたい。


そして、それはこれからしばらくないのだろう。


太一とはあのあと体の関係を持った。


部活があるから呼ばれるのはだいたい週一回、決まって土曜日の午後。


土曜日は午前中に部活があって、「汗くさくてごめんね」と苦笑する太一に抱かれる。家に行くとたまにシャワーを浴びた後の太一と出くわす。


日曜日は丸一日麻尋ちゃんと会っていると話した。


「連絡……毎日取ってる?」


ただでさえ二人は違う高校なのだ。心配にもなる。


「大丈夫。相変わらず相思相愛だから」


そう言って毎回あたしに笑いかける太一は寂しそうで。


セフレの立ち位置にいるあたしがカップルの心配をするというのもおかしな話だ。


太一はあたしを抱いている時、時々切なげに麻尋ちゃんの名前を耳元で囁く。


その声が儚げで、とても美しく残酷だ。


あたしはその度に仕方ないと自分に言い聞かせて、自分をなんとか制御する。


じゃないと、あたしは太一の前で泣きわめいてうっかり自分の気持ちを言ってしまいそうだから。


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