急性大好き症候群
「じゃあ、今年は太一くんにそれあげたら?」

「え、これ?」

「受験生なんてみんな既製品で済ませるよ。だから、別に変じゃないよ」

「や、その前に今日会わないし」

「一年生の教室行ったら?」

「あたしが? やめてよ、太一には他校の彼女いるって噂広がってるらしいから、いろいろ誤解されるじゃん」

「してるじゃない。誤解どころか、浮気」


美紗がにやりと笑ってきた。


「……美紗、あんたは誰の味方なの?」

「怒んないでよー。冗談に決まってるじゃーん」


美紗がけらけらと笑ってあたしの肩を叩く。


「怒るよ」

「ごめんごめん。他人の目から見たらの話をしただけよ。私は唯織の味方だからさ、ねっ」


受験生だからと大めに見てたらこれだ。


事実だけに何も言い返せない。


太一自身、体の関係を持ったら浮気って断言してたし。


太一は自覚しているのだろうか。


いや、精神的にやられているから、わかっていないか、気付かないふりをしているだろう。


その時、ブレザーのポケットの中でバイブが鳴った。


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