急性大好き症候群
「太一くん、そちらは彼女?」
あたしは太一くんの隣にいる女の子をちらりと見て、皮肉たっぷりに言ってみた。
「まあな」
「はじめまして。太一の彼女の坂宮麻尋です」
女の子──麻尋ちゃんが、『彼女』のところに力を込めて一歩前に出る。そしてあたしの手を握ってきた。思わず、顔をわずかに歪めてしまった。可愛い顔してるくせに、すごい力だ。
「前野唯織です。昨日は太一くんに助けてもらい、ありがとうございましたっ」
あたしは、仕返しに麻尋ちゃんの手を握り返してやった。麻尋ちゃんの端正な顔がゆがむ。やっと離した二人の手に、お互いの指の跡がついた。
「麻尋、拗ねんなよ。唯織とは何もねーんだから」
「『唯織』だって。とうとう太一も、年上に手を出すようになったのね~」
麻尋ちゃんが、斜め横から太一くんを見上げて睨む。
「違うって。昨日知り合ったんだって。この嫉妬魔」
太一くんがため息を吐いて、麻尋ちゃんの腕を掴んであたし達の横を通り過ぎる。
「麻尋がごめんな。唯織、気をつけろよ」
「あ、うん。バイバイ」
手を振るあたしの横で、麻尋ちゃんを睨み付けて低く唸っている美紗がいた……。
あたしは太一くんの隣にいる女の子をちらりと見て、皮肉たっぷりに言ってみた。
「まあな」
「はじめまして。太一の彼女の坂宮麻尋です」
女の子──麻尋ちゃんが、『彼女』のところに力を込めて一歩前に出る。そしてあたしの手を握ってきた。思わず、顔をわずかに歪めてしまった。可愛い顔してるくせに、すごい力だ。
「前野唯織です。昨日は太一くんに助けてもらい、ありがとうございましたっ」
あたしは、仕返しに麻尋ちゃんの手を握り返してやった。麻尋ちゃんの端正な顔がゆがむ。やっと離した二人の手に、お互いの指の跡がついた。
「麻尋、拗ねんなよ。唯織とは何もねーんだから」
「『唯織』だって。とうとう太一も、年上に手を出すようになったのね~」
麻尋ちゃんが、斜め横から太一くんを見上げて睨む。
「違うって。昨日知り合ったんだって。この嫉妬魔」
太一くんがため息を吐いて、麻尋ちゃんの腕を掴んであたし達の横を通り過ぎる。
「麻尋がごめんな。唯織、気をつけろよ」
「あ、うん。バイバイ」
手を振るあたしの横で、麻尋ちゃんを睨み付けて低く唸っている美紗がいた……。