急性大好き症候群
やば……電話に夢中で、後ろに誰かいることに気付かなかった……。


暗くてよく見えないけど、体格からしてなんとなく男だってわかる。しかもそこまで年老いてない。


「彼氏が浮気だってよぉ~。寂しいよなぁ~? 姉ちゃんも俺達と浮気しねえ?」


男の一人があたしの背中に手を回して来る。


男達がニヤニヤしているのが伺える。


やばい。さっきの話聞かれてた……。


触られたところがゾワッと鳥肌が立った。


「は、放せっ!」


力を込めて男の手から体を放すと、男達が密やかに笑った。


「おお、見掛けによらず怖いねぇ。そんなんだから彼氏に浮気されるんじゃねーの?」

「暴力的な女は好かれないからねぇ」


男達の言葉に頭に血が上ってくる。


暗くてあたしの顔なんてわかんないくせに。何わかったような口聞いてるわけ。


ムカつく。


「あ、待てっ!」


あたしはその場から走り出した。


逃げるが勝ちっ!


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