急性大好き症候群
「ふぎゃっ!」


引っ張られた衝動で床に倒れた。


「ふぎゃって、女子高生の言う奇声かあ?」

「なんか最近妙に聞き慣れてるような……」


顔をあげると、太一の姿があった。


「あんた、最近よく会うね」

「こっちのセリフだし。何、今機嫌悪いの?」

「床に一番に鼻ぶつけたから、鼻血が出てるんです」

「うわ、痛そ~」

「ほんとにそう思ってないでしょ」

「あは。ばれた?」

「あはって、かわいこぶってもかわいくねーよ」

「唯織さんは何をそんなにキレてるんですか?」

「…………」


裕也のこと……誰かに話したいと思っていたけど、迷惑だよね。


年下だし、なめられたくない。


「なんでもない……」


ふいっと、太一の顔から目線を逸らした。


「浮気されてるっていう、例の彼氏~?」

「うぐっ……」


なんでばれたんだっ!?


< 39 / 198 >

この作品をシェア

pagetop