急性大好き症候群
「バレバレ。今時、嘘がバレて『うぐっ』なんて言わねーよ」

「……悪かったわね」


年下にバカにされるって、なんかすごい屈辱。


太一があたしと同じ目線になるように、あたしの前にしゃがみこむ。


「浮気って、唯織は、彼氏の浮気現場を見たことあるわけ?」

「は?」

「女子って、妄想すごいじゃん。もしかしたら、噂だけで浮気してるって思ってんのかなって」

「……太一。あんた、中学生のくせに」

「何?」

「よく考えてんだね」

「何それ。どういう意味?」

「怒んないでよ。褒めてんだからさ。女子のこと意外にわかってんだなって」

「意外に?」

「確かに女子の妄想は、それだけで会話が成り立つくらいすごいけどさ。でも、このあたしが妄想だけで、彼氏が浮気してるって嘆くような女子高生に見える?」

「かなり」

「見る目ないね」


そう言ってあたしは立ち上がって、さっき座っていた長椅子に座り直して、太一に隣に座るよう勧めた。


太一は、遠慮がちにあたしの隣に座ってきた。


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