急性大好き症候群
「太一、まさか彼女さんに苦労させられてるの? えーっと、何だっけ。千尋……じゃない。ま、ま、ま……」

「麻尋」

「そう。麻尋ちゃん」

「あいつ、嫉妬深いからな。しかも妄想すごいし。この間なんか、俺が唯織と浮気してることになってた」

「一度会っただけで?」

「俺が女子と話すのが許せないってさ」

「……今、こうやって話してんのもダメじゃない?」

「いいんだよ、あいついないから」


ははっと太一は笑った。


「何ヵ月?」

「一年半」

「は? 長っ!! よく耐えられるね」

「あいつの嫉妬深いとこ、嫌いじゃないからな」

「心が広い……」


太一が、ふっと笑った。


麻尋ちゃんのことを思い出してるのだろう。なんか、幸せそうな表情。


麻尋ちゃんが本当に好きなんだね。


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