急性大好き症候群
目の前にいた男が地面に倒れこんだあたしを押さえて、ナイフの先端をあたしに向けた。


「一人ずつヤってくから大人しくしろよ。殺されたくなきゃな」


ナイフを持ってあたしの上に乗ったまま男がズボンのベルトを外し始める。


あたし、このままヤられるの?


まだ処女なのに。


裕也ともしたことないのに……。


ふっと裕也の顔が脳裏に浮かぶ。


こんなことなら強引にでももっとデートに誘うんだった。


あたし、こんな男達に犯されるのか……。


諦めにも似た覚悟を決めて、あたしは目をつぶった…………


「刑事さん達、こっちこっち!」


その時どこからか足音が近付いて来た。


「サツだ! 逃げるぞ!」


男達が慌ててあたしから離れて公園を後にする。


あっという間にあたしは一人になった。


「は……?」


あたしは体を起こして、ぽかんとした。


何があったの?


「おい、大丈夫か?」


あたしの前に人影が現れた。


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