急性大好き症候群
「じゃあ、あたしそろそろ戻るよ。さっそく明日からでいい?」

「いいけど……唯織、彼氏と親友から逃れるためにここいたんじゃないの? 戻って大丈夫?」

「あ」


やべ。すっかり現状忘れてた。


昔話に、感傷に浸り過ぎた。


裕也と美紗は、まだ二人でいるのだろうか。


まだ二人で笑い合っているのだろうか。


「……太一」

「ん?」

「一緒に着いてきて」

「は?」


太一の返事を待たずに、太一の手首を掴んで図書館に入った。


太一になんとかしてもらいたかったわけじゃない。


ただ、そばにいてほしかった。



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