急性大好き症候群
「唯織ってさ」


太一の手があたしの腕をカーペットに押し付ける。


「どこから浮気だと思う?」

「……あたし?」


あたしは唇を噛み締める。


深いキスが長かったから、息が上がっている。


「キス以上は……浮気だと思う」

「……へえ」


コツンと太一の額があたしの額に当たる。鼻と鼻が触れ合う。


ヤバいって、これ。


「俺の考えでは、浮気ってのは」


太一の唇がわずかに開かれる。太一の熱い息があたしの唇にかかる。


あたしの体の奥の熱が……うごめいた気がした。


「最後までやんなきゃ浮気には入らない」


太一があたしの耳を甘噛みする。


「や……あっ」


耳の縁にキスされて、舌で舐められて、太一の唇は首筋へと下がっていく。


「抵抗、すれば? キス以上は浮気なんでしょ?」


覆いかぶさりながらにやりと笑う太一に、あたしは抵抗できなくなった。


ただ与えられる刺激に体を震わせる。


こういうの、快楽って言うのかな。


嫌なはずなのに、抵抗しなきゃならないのに、体はゾクゾクと震えている。


それが嫌じゃない……と思うあたり、あたしは本気でまずいと思う。


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