私の彼氏は俺様です




あたしは涙を拭いていた

フェイスタオルをどけて

杏の視線の先を見た。




そこに立っていたのは……。

歩道橋の手すりに軽く座る、陸だった。




「何で?…陸、帰ったんじゃ…」

「そのセリフ、2回目」




だんだんとあたしたちの方に

近づいてくる陸。

そのシルエットを見ると、

なんだかまた泣けてくる。




「陸くん、ずっとあたしたちの後ろ、

 ついてきてたんだよ?

 知らなかったの?」


「ほ、本当に……?」




だって、だって。

あたしに呆れて帰ったんじゃないの?

『あ、そ』って言って、帰ったじゃん…。




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