マーメイ ~人魚姫の恋~
「あ。起きた。」
聞いたことのある声だった。
でも、うろ覚えで誰だかは分からない。
近づいてきた声の主の顔を見上げてみると、それは・・・。
「人間」、だった。
青い瞳、青い髪・・・。
「貴方っ・・・!!!」
思い出した。 この人は、網を引き上げた・・・!
とっさに睨み付けた。
「・・・・。と。大丈夫。誰も殺そうなんてしてないから・・・。」
そう言って彼は私にそっと近づいて髪を撫でた。
そんな簡単に人間を信用すると思ったのだろうか。
でも、何故だろう・・・。
彼の声と香りは、私にどこか安心感を与えてくれた。