マーメイ ~人魚姫の恋~
私はただ吸い込まれるように彼の瞳を見つめていた。
特に理由はないけど、目が離せなかったのだ。
「・・・人魚さん?」
キースが口を開いた。
「えっ。あっ。はいっ」
思わず出た言葉は、動揺を隠せていない。
よくよく考えてみれば、今日初めて会った彼のことをずっと見つめていたのだ。
失礼極まりない・・・・。
「・・・。君の名前、は?」
彼・・・。キースが今度は私に尋ねてきた。
そういえば人の名前を聞いておいて自分は名乗っていないなんて・・・。
「あ・・・!!私まだ名前っっ・・・・。ごめんなさい!」
私は慌てて頭を下げて謝った。
しかし、その木でつくられた「風呂」とやらに頭をぶつけてしまった。
「~~~たっっ~」
「お、おい!大丈夫か!?」
キースが急いで風呂から私を持ち上げてくれた。
そして近くのベットに乗せてくれた。
・・・・。やっぱり、優しい人・・・・。
私はふと口を開いた。
「・・・マーメイ。」
「え・・・?」
彼はふいに声をかけられて急いでこっちを向いた。
「マーメイ・イフレ。」
これが、私の、名前。