マーメイ ~人魚姫の恋~
私は胸元のリングを指で触り、そしてペンダントを首からはずした。
「・・・。はい。」
そしてキースの大きな手に渡した。
キースは「ありがとう」と言って、自分の首にペンダントをかけた。
「これ、じーちゃんが初恋の人に贈ったリングらしいんだ。...見つけてくれてありがとう」
「そっか、おじいさんの...見つかって良かった」
・・・。これで、きっともう彼と逢うこともなくなるのかな・・・。
私はそう思うと何故かとても悲しかった。
そして涙が溢れそうになったので、私は俯いた。
「マーメイ?どうした?」
話さなくなった私を彼は心配したのか、再び私の方へ寄ってきてくれた。
「水か?水がほしいのか?」
彼は何も言わず俯く私を見て、水が必要だと思ったらしい。
「・・・よし!今から海で汲んできてや・・・」
そう言って立ち上がろうとした彼に、私は咄嗟に手を伸ばした。
「え・・・?」
私は彼の手を握った。
彼は驚いた様子で振り返り、涙が溢れて落ちた私を、何も言わずに
ただ抱きしめてくれていた・・・。