マーメイ ~人魚姫の恋~

海の底へ戻っていく途中で、ふと気になるモノを見つけた。

何か・・・。

光る、もの。

人間の罠かも知れないと思いながらも、私はその光るモノへ近づいていった。

もちろん、警戒はしていたけど、その「何か」が放つ、不思議と優しい光へと

そっと手を伸ばしてみた。

するとどうだろう。

それは、銀色の光を放つ、指輪だった。

「どうして指輪がこんなところに・・・?」

人が落としたのだろうか?

本来、私たちが住む人魚の国では指輪や冠といった金属製のモノは、

王族や一部の裕福な士族しか持つことが出来ない特別な品である。

それがなぜこんなところに、無防備においてあるのだろうか??


でもやはり、多分、それは人が落としたモノ・・・。

指輪の後ろに、小さく文字が刻んであった。



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