マーメイ ~人魚姫の恋~
貴方は誰?

私は家へと帰ると、用意されていた海草のサラダを食べ、

自分の部屋へと戻っていった。

そして自分の首に掛かったモノをみて、少しの罪悪感に襲われた。

「・・無くした人は、困っているのかな・・・。」

よく考えてみるとそうだ。


海に漂っていたとはいえ、名前が刻んであるその指輪は、誰かのモノであることは

間違いないのだから。

もしかしたら、探しているかも知れない。

それが危険な「人間」だとしても、不思議な優しい銀の光を放つ指輪は、

誰かのなんらかの想いが詰まっているような気がした。


「ただの、考え過ぎかもしれないけど・・・ね。」

それでも私は、この指輪が気になって仕方なかった。

「明日も、行ってみようかな・・・・。」

海から出るのは危険だ。

最近は海賊船や商船も行き来が多くなっている。

普段でも危険な海面に、今の状況で行くというのは・・・。

危険すぎる・・・。


それでも、私は指輪にこめられた想いを・・・。


勝手に奪ってしまうなんて、出来なかったんだ。







< 7 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop