マーメイ ~人魚姫の恋~
貴方は誰?
私は家へと帰ると、用意されていた海草のサラダを食べ、
自分の部屋へと戻っていった。
そして自分の首に掛かったモノをみて、少しの罪悪感に襲われた。
「・・無くした人は、困っているのかな・・・。」
よく考えてみるとそうだ。
海に漂っていたとはいえ、名前が刻んであるその指輪は、誰かのモノであることは
間違いないのだから。
もしかしたら、探しているかも知れない。
それが危険な「人間」だとしても、不思議な優しい銀の光を放つ指輪は、
誰かのなんらかの想いが詰まっているような気がした。
「ただの、考え過ぎかもしれないけど・・・ね。」
それでも私は、この指輪が気になって仕方なかった。
「明日も、行ってみようかな・・・・。」
海から出るのは危険だ。
最近は海賊船や商船も行き来が多くなっている。
普段でも危険な海面に、今の状況で行くというのは・・・。
危険すぎる・・・。
それでも、私は指輪にこめられた想いを・・・。
勝手に奪ってしまうなんて、出来なかったんだ。