マーメイ ~人魚姫の恋~
部屋に戻ろうとしたとき、ふと、お母様に呼び止められた。
「マーメイ?どうしたの?なんだか元気がないように見えるけど・・・」
「・・・大丈夫よ、お母様。ほら、ちょっと歌い疲れちゃって!」
お母様にキースのコトなんて言えるはずがない。
ましてやお父様には。なぜなら、お父様は純血の王族。
誇りが高くて、人間を忌み嫌っているから。
お母様は、昔お父様に見初められて結婚したらしい・・・けど。
でも、だからってキースのコトを相談するわけにはいかない。
王族じゃなくても、たいていの人魚は人間のことを恐れているから・・・。
一部には、人間の世界を夢見る人魚もいるらしいけど・・・。
本当に一握りだし、私とは何の接点もないし・・・。
その人達と話をしたところで、なんの解決になるとも思わない。
私は気付かれないようにため息をつき、お父様とお母様にあいさつをして、
自分の部屋へと戻ることにした。