To beloved Mr.Rabbit【短編】
「今回のも、俺が泣かした?」
「ち、がう……」
眉をひそめて微笑む先生は、初めて会った時の笑顔とは違う。
最近先生は、ずっとそんな風に笑ってる。
「ウサギさん、好きだよ……」
私が言う度に、最近の先生は、そういう笑顔をする。
ほら、今だって。
「お前は、俺が大人だから好きになったんだろ?ただ、それだけの理由だろ?」
初めて先生に告白した時、私は確かにそう言った。
「先生みたいな大人な人を探してたの!」って。
まだ二週間ちょっと前の事なのに、なんて馬鹿みたいな告白したんだろうって、呆れてしまう。
多分その時は、先生を好きになったのはそういう理由だったんだと思う。
と言うより、大人で格好良かったから、だから先生を好きになったんだと思う。
確かに先生の言う通りだったんだ。
でもね、でも今は……
「俺はお前が思ってる程大人じゃない。ゲームもするし、漫画だって好きだし、食べ物の好き嫌いもある、それに……」
先生は一旦言葉を詰まらせ、目を伏せた。