To beloved Mr.Rabbit【短編】

「で、続きなんだけど…」


「……うん」


この話が終わったら、もう先生とは会えなくなる様な気がする。


そう思うと、続きが聞きたい様な聞きたくない様な。


でも時間は過ぎるから。
聞かなくても、きっと先生とは会えなくなるんだ。



「俺が大人なんかじゃない理由、どこまで挙げたっけ?」

「好き嫌いがあるって所……までかな」


例えば先生が言った事が全て本当でも、私はそんなの気にしない。

だってもう「大人だから」なんて理由は、無くなっている。

先生だから、ウサギさんだから、一緒に居たいと思うんだ。


「大人は、ルールを守らなきゃいけないんだ。俺はルールを守れなかった」


夕日のオレンジが、先生の顔にうつった。

先生はどこか、寂しそうだった。


「私がウサギさんに付き纏ったからでしょ?ウサギさんは悪くないよ」

先生の言っている事はきっと、私との事。

必要以上の関係を持っちゃいけないってルールを、私が破ったから。

でも破ったのは私だけ。
先生は破ってなんかいないよ。



先生はまた、眉をひそめて笑った。
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