To beloved Mr.Rabbit【短編】
「今回のも、俺の所為?」
先生はそう言って、自分でもいつ流れたか分からない、私の頬を伝う涙をすくってくれた。
「ウサギさんの所為だよ」
「……ごめん」
先生は、やっぱり眉をひそめて笑った。
その時は、どうして私達はすぐに付き合いを始める事が出来ないのか、分からなかった。
でも先生が残してくれた言葉を、ずっとずっと考えて……
「例えばありすが俺と同じ歳になっても、まだ俺の事を忘れていなかったら。例えば俺が教師になっても、ありすの事が忘れられなかったら。それが、俺達の答え」
あの言葉を何回も思い出し、考える。
それを考える度に、私達はとても幼い、でもとても温かい恋愛をしていたんだなって思うよ。
そして私は今でも、ウサギさんの、最後に見せてくれた困った様な笑顔を、忘れてないよ。