To beloved Mr.Rabbit【短編】
「先生は、私のウサギさんなんだってばぁ」
「意味分かんねぇし」
昼休み、私は数学準備室で一人お昼ご飯を食べている先生の元へ訪れていた。
先生は私から逃げる為か、毎日ご飯を食べる場所を変えている。
でも何処に居たって、私は見つけちゃうから。
先生の隣に座って、私も自分のお弁当を開く。
先生は購買でパンを買ったらしく、空の袋が一つ机に乗っかっていた。
今先生は、焼きそばパンを食べている。
「そんなのばっかりだと、体に悪いよ?」
「じゃあお前の弁当よこせ」
そう言って先生は、私のお弁当箱から玉子焼きを摘んで口に入れた。
そして一言「甘いな」と言って、また焼きそばパンを頬張りだした。
「ウサギさんの焼きそばパンも一口ちょうだいよ」
「ヤダよ」
「ケチ」
玉子焼きが一つ無くなったお弁当を箸でつつきながら、私は思い付いた。
「明日からお弁当作ってきてあげようか」
意気揚々と言う私とは裏腹に、先生は冷めた目をしてこの提案を即却下した。
「教師が生徒に弁当作ってもらうわけにいかないだろ」らしい。
そういうのって世間体っていうの?
何か納得できない。