To beloved Mr.Rabbit【短編】
先生は一瞬驚いた様な顔をして、眉をひそめた。
「悪い、これは受け取れない」
小さく、でも確かにそう呟いて、先生は俯いた。
「あ、味なら保証するよ!玉子焼きも甘くならない様に作ったから!」
私は、受け取ってもらえなかったお弁当を、また差し出した。
でもやっぱり受け取ってはくれなくて。
「本当にごめんな。でも、ありがとう」
先生は眉をひそめたまま、申し訳なさそうに笑った。
……仕方ないって分かってるけど。
先生は生徒と、必要以上な関係を持っちゃいけないって分かってるけど。
苦しいな。
「そうだよねぇ、ウサギさん、パンの方が好きだもんねぇ」
私は、差し出したままになっていたお弁当を引っ込めた。
いつもより一時間も早起きした事とか、料理上手だねって褒めてくれるの楽しみにしてた事とか、全部私の暴走だもん。
でも教育実習は、あと明日と明後日しかなくて。
先生と会えなくなっちゃうんだもん。
そう思ったら、涙が頬を伝った。
「先生が生徒泣かしたぁ〜!うわぁ〜ん」
私はわざと明るく言った。
涙なんか流してる場合じゃない。