純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
「それ、ちょっとくださいよ」
「イヤだね。自分で頼めばいいだろ」
「いいじゃないですか一口だけ食べてみたいもん」
彼の前に運ばれてきた、魚のムニエルに勝手にフォークを突き刺す。
「お前なぁ」
そう言いながらも、私に皿を差し出してくれる。
「美味しい! 今度、これ頼もう」
「は? また来るつもりか?」
「はい。明日にします?」
はぁっとため息を吐きながら、目は笑っている彼。
お返しに、私の頼んだチキンのハーブ焼きを大雑把に切って、彼の皿に乗せた。
「この切り方、なんだよ?」
「あっ、いらなかったですか? それじゃあ」
私が再びチキンを自分の皿に戻そうと手を伸ばすと、彼はフォークでそれを突き刺して、自分の口に入れた。
「返すか」
あはは
あんなに落ち込んでいたのに、笑っている私。
この男。
いろんな魔法を知っているらしい。